SESについての情報を集めていると、「SESは将来性が低い」「SESはやめとけ」など、ネガティブな言葉をたびたび目にします。しかし、上記のようなネガティブな言葉を信じる必要はありません。
IT市場の拡大やITエンジニア不足による売り手市場が追い風となり、ITエンジニアの待遇が改善し、SESの将来はむしろ明るいと言われています。
当記事では、SESで将来性を高められる理由やSES企業の選び方について解説します。今後SESに転職を考えている方や、現在SES企業を狙って転職活動している方は転職成功率を高めるためにも、参考にしてください。
SESは「システムエンジニアリングサービス(System Engineering Service)」の頭文字をとった言葉です。SESの業務形態はITエンジニアを派遣する準委任契約で、労働力(人月)に対して報酬が支払われます。
SESと混同される契約や業態に派遣やSIerがあります。しかし、それぞれの指揮系統や契約形態は別物です。SES・派遣・SIerの具体的な違いは以下になります。
SES | 派遣 | SIer | |
職場 | 客先 | 客先 | 客先または自社 |
報酬の対象 | 労働力(人月) | 労働力(人月) | 成果物 |
指揮系統 | 雇用主 | クライアント | 雇用主 |
派遣法 | 対象外 | 対象 | 対象外 |
完成責任 | 契約により異なる | なし | あり |
SESと派遣の違いは指揮系統です。SESの場合、雇用主がITエンジニアを指揮しますが、派遣であればクライアントがITエンジニアを指揮します。
SESとSIerの違いは契約形態です。SESはITエンジニアの労働力を提供する準委任契約に対し、SIerはシステムの開発や運用を受託する請負契約です。
SESはたびたび、将来性が低いと言われます。SESの将来性がネガティブに言われる理由は以下の通りです。
SESの将来性が低いと言われてしまう理由について、詳しく確認しておきましょう。
多くの企業でAI活用が増え、省人化や生産性向上が実現しつつあります。設計・実装・データ処理・分析など、ITエンジニアにおける業務のいくつかはすでにAIへ代替されており、今後さらに仕事が奪われるのではないかといった懸念の声を耳にします。
Google・MicroSoft・IBMなどのレポートによると、ITに関連する職の90%以上が、AIによって変革されると報告されました。
しかし、AIの登場は業務改革によりITエンジニアが活躍する新たなチャンスとも捉えられます。AIのスキルを早期にキャッチアップできれば、さらなる活躍が期待可能です。
SESは、多重下請け構造になりがちです。多重下請け構造の弊害として、下流工程を主に担当するITエンジニアはコーディング・テスト・運用・保守などの業務が多くなります。
下流工程と上流工程を比較すると、プロジェクト全体への影響度合からも下流工程は単価が低い傾向です。
また、商流が深い場合、中抜きが多く発生することで収入が上がりにくい点も弊害です。とくに、商流が深いことで契約単価が低いにも関わらず、高い還元率をうたうSESには注意しましょう。
たとえば、単価50万円の案件で還元率80%であれば支給額は40万円です。しかし、単価80万円の案件で還元率60%なら支給額は48万円なので、後者の方が手取りは高くなります。したがって還元率だけでなく、案件単価をエンジニアに開示しているかどうかの確認が重要です。
SESは下請け案件の多さや、上流工程に関われる機会の少なさから、SIerや自社開発企業のITエンジニアと比較して、キャリアの幅が狭くなる傾向があります。また、プロジェクト単位での働き方が多いため、中長期的なスキルの向上やキャリア設計も困難です。
SESから上流工程を担当したり転職によるキャリアアップを考えたりする場合、紹介される案件を受けるだけでなく、資格取得や技術習得により専門性を高めましょう。
IPAの情報処理技術者や、CCNA・LinuC・AWSなどの認定資格を持っていれば体系的な知識がある証明になり、キャリアアップの可能性が高まります。
SESは将来性がないと言われることもありますが、以下の理由から将来性が高いとも考えられます。
SESで将来性を高められる理由について、詳しく確認しておきましょう。
経済産業省によると、IoT/AI市場を含むITサービス市場は、行政・医療・金融などさまざまな分野におけるニーズ多様化により当面、需要が増え続けると予測されています。
引用:参考資料(IT人材育成の状況等について)経済産業省 商務情報政策局情報処理振興課
一方で少子高齢化の影響もありITエンジニアの供給量は減り続けると予測されるため、売り手市場になると考えられます。
引用:参考資料(IT人材育成の状況等について)経済産業省 商務情報政策局情報処理振興課
スキルのあるITエンジニアの希少性が高まり企業にとって魅力的な人材になるため、労働環境の改善や賃金の向上が期待可能です。
ただし、実装をはじめとする一部のポジションについては求人数よりもITエンジニアの数が多くなりつつあるので、事前にキャリアパスを描いておくことは重要です。AI・IoT・セキュリティなど、不足数が増大すると予測される分野の専門性を伸ばすことで、差別化がしやすくなります。
SESとして派遣される先は、大手企業・ベンダー企業・自治体など規模がばらばらで、業種も製造業・建設業・運送業など、多種多様です。さまざまな現場を経験すると、ITスキルはもちろん、幅広い業界知識や多面的な考え方を得られます。
幅広い知識や多面的な考え方があれば問題解決能力につながるので、上流工程に携わるきっかけになったり、転職を実現できたりと自身の将来性を広げられます。
IT業界は近年、ITエンジニア不足の影響もあり、未経験者を採用するSES企業は多く見られます。配属前の研修を徹底しているSES企業であれば、未経験からでもスキルアップが可能です。
配属前に研修で基本知識を補い、同じ会社の先輩がいる案件に参画しOJTを受けるなどの流れがある企業であれば、段階を踏んで経験を積めます。またOJTだけでなく自主的な学習(OFF-JT)により実務経験と体系的な知識を得られるため、さらに専門性を高められます。
ITエンジニアとして働く場合、SES・SIer・自社開発など、働き方は多種多様です。なかでもSES業界に向いている方の特徴をまとめました。
今後SES業界に転職しようと考えている方は、転職後に後悔しないためにも自身に向いているか事前に確認しておきましょう。
IT業界は人手不足で、SESにおいてもエンジニアのニーズは拡大傾向です。SES企業では未経験エンジニアへの門徒も開いているので、経験が無くてもプログラミング、ネットワーク・サーバ構築、運用・保守などの実務スキルを磨けます。
また、自社開発を行う企業や社内SEなどは実務経験やマネジメント能力を求める傾向です。
上記の企業や職種は未経験からの挑戦が難しいとされていますが、SESで経験を積めれば、転職の可能性も出てきます。将来的にSES以外への就職を考えている未経験の方にも、ファーストステップとしてSESへの転職はおすすめです。
SESではさまざまな企業や団体の案件を経験しながら技術・知識を吸収できます。結果的に視野が広がり、問題解決能力の向上が可能です。問題解決能力はプロジェクトを成功に導くために必要な能力なので、上流工程を担う場合欠かせません。
また、昨今はAI化・DX化の流れもあり、最新技術をキャッチアップできれば参画できる案件が増え、収入アップにもつながります。
上流工程を目指すのであれば、専門的なITスキルだけでなく、顧客の要望を聞き入れ提案する能力も必要です。顧客の要望を聞き出して課題を抽出し、解決するための提案力があるエンジニアは希少なため、重宝されます。
また、客先常駐の場合、プロジェクトごとに環境や人間関係が一新されるため、新しい環境に柔軟に溶け込まなければなりません。コミュニケーション能力が高くすぐに新しい環境に溶け込める方は、業務をスムーズに遂行できると考えられます。
SES企業は優良企業から悪徳企業まで幅広く存在します。将来を明るくするなら、以下のような優良企業を選びましょう。
SES企業の選び方における、各ポイントについて解説します。
SES企業の中には、中長期的目線でエンジニアを育てるため、勉強会や資格取得制度などの教育体制を充実させているケースがあります。
IT業界は技術の変化が速く、継続的な学習が必要不可欠です。最新技術や知識の習得をバックアップしている企業なら、技術の変化が速い中でも安心してスキルを伸ばせます。
また、資格取得で報奨金が出る企業なら、ダイレクトに年収アップも可能です。教育制度や報奨金については求人や企業HPに記載されているケースが大半なので、事前に確認しましょう。
SES企業は、規模によって保有している案件数にばらつきがあります。長く働いてキャリアを形成したりスキルアップしたりするなら、多くの案件を保有し自分の指向性にあった案件を複数提案してくれる企業がおすすめです。
案件が多くてもITエンジニアに選択権がなく、命令された現場にしか行けない企業は配属後にスキルと業務がマッチせず苦労しがちです。入社前に企業で働いた経験のある口コミを見て、案件の選択権がなさそうな企業は避けましょう。
上流工程を担当できるSEは市場価値が高く、高単価の案件に参画できたりユーザー企業へ転職できたりと、キャリアアップしやすくなります。
上流工程に関われるSES企業の特徴として、プライム案件の比率が多かったり、チームで配属させられることが多かったりすることが挙げられます。将来性を高めたいなら、設計・要件定義など上流工程に関われるSES企業を選びましょう。
SESの今後は、ITエンジニアの不足やAI・DX推進などのニーズによって今後も需要が増えると予想されます。
また、未経験者を積極的に受け入れていたり、教育制度を整えたりして長期的に育てようと考えているSES企業も見られます。ITエンジニアとしてキャリアアップしたいなら、将来性のあるSES企業で継続的にスキルを伸ばすことがおすすめです。
企業選びも重要なので、積極的に転職エージェントを活用しましょう。
今の時点でご経験をされている言語や技術要素に関係なく、
①技術を通じてユーザーやお客様にとって使いやすいサービスの実現に興味があるエンジニアの方
②興味・関心がある技術について自ら学ぶ意欲をお持ちの方
上記に当てはまる方でしたら、素晴らしい企業とのマッチングをお手伝いできる可能性が高いです。
最近はお住まいの場所に限らず応募ができる企業や経験年数に関係なくフラットにご評価をして下さる企業も増えているため、ぜひ一度モロー宛てにご相談を頂けますと幸いです。