クライアント企業のオフィスに常駐して業務を行うSESエンジニアにとって、避けて通れないのが案件参入時のSESの案件面談です。経験がない若手エンジニアにとっては充分に対策して臨む必要があり、油断すると足元を掬われる結果になりかねません。
この記事では初めて現場に入る未経験者向けに、SES案件面談の基本知識から、必要な対策と準備、質問の対処法、効果的な逆質問までを分かりやすくまとめました。面接の性質を理解し、しっかりと準備しておけば怖くありませんので、参考にしてください。
目次
SES面接とは、SESエンジニアが現場に参入するに先立ち、常駐先クライアントの担当者、自社の営業等を交えて顔合わせを行い、自己紹介や業務内容の確認、質疑応答を行う場のことを言います。
名目的には相互理解を高めるための顔合わせ、面通しです。しかし、実態として企業側は複数の候補者と面談をしたうえで、自社の業務内容や求めるスキル感にマッチするか見定めています。採用面接のようなニュアンスもあるので、失敗しないために準備や対策が重要です。
面接は対面で行われるのが基本ですが、まれにオンラインの場合もあります。回数は1回で終わることが殆どです。
面接はマンツーマンで行われることはなく、本人のほかに以下の関係者が出席します。
・常駐先クライアント担当者(上長、チームメンバー)
客先の担当者です。案件によって、現場で一緒に手を動かすレベルの人から、かなり上の役職者が出てくることまで様々です。商流が深いとプロパー(クライアント企業の正社員)ではなく一次請けのSIerの担当者になる場合もあります。
・自社担当者(営業、上司)
技術者を紹介し引き合わせる立場の自社の担当者が同席します。通常は営業担当が引率しますが、その客先において自社の勢力が大きい場合は現場に常駐している先輩が出てくることもあります。また、中小企業では社長や役員が出向く場合も多いです。
SES面接においてクライアント担当者が確認する主なポイントとしては、以下があります。
細かい部分は案件によって異なりますが、おおむねこの3点が基本になり、どれか一つでもマイナスがあると予期せぬ結果になることがあります。
たとえ終始雑談のような和やかな面接になったとしても、先方はちゃんと候補者を見定めているので、雰囲気に流されないで言動や態度を引き締めることはとても重要です。
SES面接では、「このプロジェクトで共に仕事をするメンバーとして相応しいか」をチェックしています。主に、下記の項目を見られています。
SES面接のパターンは様々ですが、基本的に下記のような流れで進行します。
順序が入れ替わったり、省略されることもあります。まず案件の説明から切り出すクライアント担当者もいますし、スキルシートは各自黙読だけで、いきなり質問から始まる場合も想定されます。臨機応変に対応できるように準備を万全にしておきましょう。
SES面接は企業に入社するための面接とは違って、完全アウェーの世界ではありません。営業担当はクライアント担当者のことを知っているし、もし先にプロジェクトに入っている自社のメンバーがいれば、同じようなSES面接を経験しています。味方を利用しない手はないといえます。
営業担当者や現場の先輩に不安なことや確認しておきたい点を相談し、積極的に情報を収集することで、面接への対策を立てましょう。「面接するクライアント担当者はどんな人?」とか「過去の面接で聞かれたことは?」など、有益な情報を聞き出せれば安心できます。
SESの現場に参入する際は、エンジニアとしての経歴、実績、保有資格などをまとめて記載したスキルシートという書類を必ず事前に用意し、面接にも持参します。スキルシートをもとに質疑応答が交わされることが多いので、アップデートしておきましょう。
具体的かつ正確にスキルが棚卸しされているか、過去の実績が列挙できているかを確認します。プロジェクト規模、ユーザー数、ステップ数など定量的にアピールし、見やすさも考慮します。エンジニア未経験者は書き方が分からない人も多いので、必ず営業担当や先輩エンジニアにレビューしてもらいましょう。
面接対策として、以下の3つは最低でも行ってください。
SES面接は短時間なので、スキルシートの内容をすべて読み上げると長すぎてマイナス印象です。アピールできる要点をかいつまんで簡潔にスピーチする練習をしておきましょう。本記事で紹介する内容を参考に、また各プロジェクトの特性も考慮しながら、質問と逆質問の準備もしてください。
営業担当者や先輩と本番前にロールプレイングしておくことができればベストです。経験がない人は名刺交換の練習もしておいてください。
最後は身だしなみです。服装、髪型、かばん等、清潔感を与えるようにしましょう。普段スーツを着ない人、在宅勤務が多い人は特に気をつけてください。
企業ごとに特化した面接対策・模擬面接がしてみたい方はキッカケエージェントにご相談ください。
質問例 | Q.(スキルシートの内容を深掘り)単体テスト時は、テストコードも書きましたか? ***(未経験の技術やツール)の経験はありますか? |
回答例 | A. 他のエンジニアが書いたテストコードを実行しただけで、自分で書いてはいませんが、コードを見て動作を理解しました。 ***を使ったことはありませんが、それに近い***だったら使ったことがあります。 |
NG回答例 | A. 書いていません。ありません。 |
ポイント | 未経験のスキルを問われたら、嘘をつかず素直に「ない」と答えた後にフォローを入れるようにしましょう。 |
質問例 | Q. エンジニアとして目標はありますか? うちの現場は保守の仕事も多いけど構わないですか? |
回答例 | A. PMを目指しています。様々なフェーズを管理できるようになりたいので、設計や開発と同様に保守の経験も積みたいです。 |
NG回答例 | A. 生成AIを極めたいです。プログラマーの仕事はAIに奪われると思うので、早くAIを使う側にいきたいです。保守は興味ありません。 |
ポイント | 目標は人それぞれとはいえ、TPOをわきまえて、友達に語るような回答をしないことです。いま面接している案件が自分の将来像や目指すキャリアに結びつくことを添えましょう。 |
質問例 | Q. 分からないことがあるとき、どう対処しますか? 結構クセの強いユーザーさんも多いですが、大丈夫ですか? |
回答例 | A. まず自分で調べて、どうしても分からなかったらチームに聞くようにします。 学生時代飲食店でアルバイトをしており、色々なお客様への対応も経験済みです。人と話すことが好きなので積極的にコミュニケーションをとっていきたいです。 |
NG回答例 | A. すぐに人に聞きます。 正直ユーザー対応は苦手なんですが、やらなければいけないのでしょうか? |
ポイント | 不明点はまず自分で調べる→先輩に聞くという順序を示します。 嫌なこと、汚れ役も引き受ける態度は好印象で、今までの経験を例に出すと伝わります。 |
質問例 | Q. 長期に渡って参画できますか? お住まいは〇〇市ですか?結構遠いけど大丈夫ですか? |
回答例 | A. 遠いですが、通勤は苦にならないので大丈夫です。早起きが得意で、入社以来今まで無遅刻無欠勤を継続しています。 |
NG回答例 | A. 片道1時間半かかり辛いので、リモートを多めにしたいです。家の都合で水曜と金曜は早めに帰らせてもらっていいですか? |
ポイント | 相手は継続して出勤できるかを心配しているので、安心させるようにしましょう。細かい勤怠の希望は現場参入後に調整するので、面接時に直接伝えないようにしてください。 |
質問例 | ・チームは何名体制ですか?インフラ担当者も同じフロアにいますか? ・報告会や運営会はどのくらいの頻度で実施されていますか? |
メリット | 現場の具体的イメージをつかむことで、現場と自分との相性を確認できます。相手にとっても、参入後に仕事をスムーズに着手できるようにしているという印象を与えます。 |
質問例 | ・アサイン確定した場合、事前に必要な資料やマニュアルを読んでおくことはできますか? ・現在のプロジェクトの課題は何ですか |
メリット | 少しでも予習ができれば、現場参入の準備が効果的にできます。相手にも積極性が伝わります。 |
質問例 | ・勉強しておいた方がいいスキル、知識はありますか? ・IDEやエディタは何を使っていますか? |
メリット | 現場で必要なスキルが把握できるほか、例えアサインされなかったとしてもスキルアップの指針になります。 |
質問例 | ・チームの皆さんで昼食をとられたりしますか? ・業務内ではどのようにコミュニケーションをとりますか? |
メリット | クライアントの企業文化、雰囲気が分かります。コミュニケーションスタイルを重視していることが相手にアピールできます。 |
特徴 | ・受け答えがスムーズで的確 ・場が明るくなる ・正直さと誠意が伝わる |
評価される点 | この人と一緒に仕事がしたい、と思わせる知性や人柄、オーラは突破の大きな決め手になります。 |
特徴 | ・現場で必要とされるスキルや経験が充分にある ・今後の課題を解決してくれそうなスキルがある |
評価される点 | 世間一般の尺度ではなく、現在または将来的に現場に役立つスキルを持っていると高評価です。 |
特徴 | ・落ち着き、粘り強さがある ・向上心が強く、積極的 |
評価される点 | 日々の積極性のほか、困難なときにも逃げず、長期継続してくれそうな要素が評価されます。 |
特徴 | ・会話のキャッチボールができない ・質問に対する回答がズレている ・説明が長すぎる |
マイナス点 | 面接はコミュニケーション力を測る場です。話が長くなりがちの人は、簡潔に回答し、その後で補足を説明するように意識しましょう。 |
特徴 | ・スキルシートの内容と、口頭での説明にズレがある ・誇張や嘘が散見される |
マイナス点 | 喋りが上手くても嘘や誤魔化しは必ずバレます。誠実性も疑われるので厳禁です。 |
特徴 | ・表情が暗い ・ネガティブな発言がある ・案件に入りたいという意欲が感じられない |
マイナス点 | どんなにスキルが高くても悪印象を持たれては意味がないです。不愛想で人見知りの人は意識して直しましょう。 |
初心者の方がSES面接を攻略するポイントとしては、まずSES面接のイロハとセオリーを押さえておくこと、そして早めに準備を進め、質問対策や逆質問を考えておくことです。プロジェクトの性質を研究し、クライアントの立場にたった回答をしつつ、意欲をアピールするようにしましょう。
最初は誰でも不慣れで分からないので、自社の先輩や営業担当者に聞いてみるのがいいでしょう。また、キッカケエージェントのような転職エージェントも面接のノウハウは豊富に持っているので、お気軽にご相談ください。
今の時点でご経験をされている言語や技術要素に関係なく、
①技術を通じてユーザーやお客様にとって使いやすいサービスの実現に興味があるエンジニアの方
②興味・関心がある技術について自ら学ぶ意欲をお持ちの方
上記に当てはまる方でしたら、素晴らしい企業とのマッチングをお手伝いできる可能性が高いです。
最近はお住まいの場所に限らず応募ができる企業や経験年数に関係なくフラットにご評価をして下さる企業も増えているため、ぜひ一度モロー宛てにご相談を頂けますと幸いです。