
「受託開発はなんでやめとけって言われるの?」
「受託開発がつらいと言われる理由は何?」
受託開発への転職を視野に入れている方にとって、こうした意見を見かけると気になるものです。実際、受託開発と検索すると「やめとけ」「つらい」という検索候補が出てくるため、背景が気になるのも当然と言えます。
そこで今回は「受託開発がやめとけ、つらいと言われる理由」を紹介します。転職するにあたって知っておきたい「向いている人/いない人の特徴」や「受託開発からのキャリア」も解説していますので、ぜひ参考にしてください。
目次

受託開発が「やめとけ」「つらい」と言われる理由の1つに、納期が厳しい点があります。クライアントの要望により短期間での開発が求められることが多く、品質を保ちながらスケジュール通りに完成させるプレッシャーが非常に大きいためです。
特にクライアントのビジネススケジュールに合わせた納期設定になりやすく、開発チームが長時間労働を強いられるケースが多々あります。仕様変更や追加要望が発生した場合は、限られた時間内で対応しなければなりません。
残業時間が長くなりがちなのも、受託開発はやめとけと言われる理由の1つです。厳しい納期やクライアントの追加要望により予定工数を超過する場合が多く、結果として長時間労働や休日出勤が常態化し、ワークライフバランスが崩れやすくなります。
特に契約上の制約により、クライアント側へ追加工数に対する適切な対価を請求できない場合は、限られた時間内で品質を保ちながら完成させなければいけません。結果としてエンジニアの労働時間が犠牲になり、健康面や私生活に悪影響を与えるどころか、長期的なキャリア形成にも支障をきたす恐れがあります。
受託開発を「やめとけ」「つらい」と言われる理由の1つに、情報の連携に時間がかかる点もあります。
例えば、複数の関係者が関わるプロジェクトでは、仕様確認や承認プロセスで数日から数週間待たされるケースが珍しくありません。クライアントの担当者が技術に詳しくない場合、要件の説明や進捗報告に余計な時間がかかり、開発者の生産性が大幅に低下してしまうこともあるでしょう。
多くの人が関わる仕事ほどこうした事態になりやすく、スムーズに業務が進まない事態に陥ります。
受託開発ではスキルアップがしにくい点も、「やめとけ」「つらい」と言われる理由になります。クライアントの既存システムや成熟した技術に合わせた開発が中心となる案件が多く、最新技術や自分が学びたい技術に触れる機会が限られるためです。
例えば保守的なシステム運用を重視する企業の場合、新しいフレームワークやプログラミング言語の導入に消極的で、成熟した技術での開発を依頼されるケースが多々あります。
こうした点から市場価値の高いスキルを身につける経験が制限されてしまう点も、「やめとけ」「つらい」となる要因と考えられます。
受託開発が「やめとけ」「つらい」と言われるほどストレスフルな現場になる理由は、クライアント側の対応にもあります。報酬を受け取る立場上、どうしてもクライアントに主導権を握られやすく、開発途中での仕様変更や追加要望をする際に、クライアント側の都合が優先されやすいためです。
特に「お金を払っているのだから何でも対応してほしい」という姿勢のクライアントの場合、技術的に困難な要求や非現実的なスケジュールを押し付けられることも珍しくありません。場合によってはそれまでの作業が無駄になったり、設計を1から見直す必要が生じたりする可能性もあります。
結果として、受託開発は「やめとけ」「つらい」と言われてしまうのです。
受託開発への不安が高まっている理由は、市場規模が縮小すると考えられている点もあります。AI技術の発達やローコード・ノーコード開発の普及により、従来の受託開発の需要が減少する可能性があるためです。
特に、単純なWebサイト制作や基本的なシステム開発は、AIやテンプレートベースのツールで自動化される可能性が高いと考えられます。また、企業がDXを推進する中で、外部に開発を委託するよりも内製化を選択するケースも増えているのも要因の1つです。
長期的なキャリア形成を考えるうえで、受託開発だけでは難しくなってきた点も、おすすめされない理由の1つと考えて良いでしょう。
| 項目 | 受託開発企業 | 自社開発企業 |
| 年収 | ・安定した収入 ・上流工程になると高水準を期待できる | ・企業の業績や個人の貢献度に応じて変動 ・SESや受託開発より高め |
| 得られる スキル・ 経験 | ・多様な技術スタックに触れられる ・様々な業務知識を習得できる | ・技術への深い理解を得られる ・プロダクト全体のライフサイクルを経験できる ・ビジネス戦略への経験ができる |
| 働き方 | ・クライアントの都合に左右されやすい ・残業が多くなりやすい | ・自分たちのペースで開発をすすめやすい ・リモートワークやフレックスタイムなどの働き方が可能 |
| キャリアパス | PMや特定技能領域のスペシャリスト | PdMやCTO |
受託開発企業と自社開発企業では、年収に大きな差が出る傾向にあります。受託開発企業は一般的に年収が低めで昇給幅も限定的な傾向があるのに対し、自社開発企業は成果に応じた評価制度があり、高年収を目指しやすい環境が整っているためです。
特に受託開発企業は年功序列的な昇給制度を採用しているところも多く、すぐに高い年収を得るのは難しい傾向にあります。自社開発企業のように、サービスの成長が直接的に会社の収益につながる環境でもないため、収入面では自社開発企業と比べて控え目と言って良いでしょう。
ただし、これは裏を返せば受託開発は安定した収入があるとも言えます。上流工程になると高水準な給料にも期待できるため、努力次第で年収アップは十分に可能です。
受託開発企業と自社開発企業では、得られるスキル・経験が大きく異なります。受託開発では様々な業界・技術に触れる機会があり幅広い経験を積めますが、自社開発では特定の技術領域を深く極められる働き方になるのが要因です。
例えば、受託開発ではプロジェクトごとに異なるクライアントや業界のシステムを扱うため、多様な技術スタックや業務知識を習得できます。一方の自社開発では、1つのサービスに長期間関わる点から、技術の深い理解とプロダクト全体のライフサイクルを経験でき、受託開発では得るのが難しいビジネス分野への知見も広げられます。
受託開発企業と自社開発企業では、働き方にも明確な違いがあります。受託開発はクライアントの都合に左右されやすく残業が多い傾向がありますが、自社開発は比較的自分たちのペースで開発を進められるでしょう。
特に受託開発では、クライアントの急な要求や厳しい納期により、予定外の残業や休日出勤が発生することが多々あります。
一方の自社開発では、長期的な視点でサービスを改善していくため、無理なスケジュールを組む必要がありません。効率的に働けば早く帰宅できるでしょう。ただし、プロダクトのフェーズであったり、休日や定時外でのエラー対応などが発生したりする場合は、無理なスケジュールになる場合もあります。
受託開発企業と自社開発企業では、キャリアパスも異なります。例えば、受託開発では技術者からプロジェクトマネージャーへの道筋が一般的ですが、自社開発では技術スペシャリストやプロダクトマネージャー、CTOなど多様なキャリア選択肢があるのもその1つです。
こうした背景には、受託開発では技術力を身につけた後に顧客折衝やプロジェクト管理業務に移行するケースが多く、純粋な技術者として成長し続けるのが難しい点が挙げられます。

変化を楽しめる人は、受託開発に向いています。様々なクライアントや業界のプロジェクトに携われることから新しい技術や業務知識に触れる機会が多く、変化に富んだ環境での仕事にやりがいを感じやすいためです。
また、受託開発ではプロジェクトごとに異なる技術スタックを使用するケースも多く、常に新しい知識やスキルの習得が求められます。こうした環境は、刺激的な仕事を求める人にとって理想的な職場となり得ます。常に変化を求める人には最適と言えるでしょう。
受託開発ではクライアントや社内外の関係者との調整や交渉が頻繁にあるため、コミュニケーション能力が高い人も向いています。相手の要望を理解し、技術的な内容をわかりやすく説明できると、現場では重宝されるでしょう。
例えば、受託開発の仕事では、技術に詳しくないクライアントに対して、複雑なシステムの仕組みや開発の進捗状況を理解しやすい言葉で説明する必要があります。こうした際にコミュニケーション能力が高いと、スムーズに進めやすくなります。
幅広い業界の人脈を作りたい人も、受託開発に向いています。多様な業界のクライアントと関わることで、IT業界以外の知識や人脈を築けるためです。特に、将来的に独立や転職を考えているほど、重要な要素になります。
例えば受託開発では、製造業や金融業、医療業界、小売業など様々な分野の企業と協働する機会があるため、それぞれの業界の専門知識や商習慣を学べます。そうしたプロジェクトを通じて築いた信頼関係は、将来的に重要な顧客基盤になってくれるでしょう。
多くの開発経験を積みたい人も、受託開発に向いています。短期間で複数のプロジェクトを経験する性質上、様々な技術スタックや開発手法、業務システムに触れる機会があるためです。エンジニアとしての引き出しを増やしたい人に適しています。
受託開発では、比較的短いサイクルでプロジェクトが完了するため、1年間で複数の異なる案件に携わることも可能です。これにより、様々なプログラミング言語や開発手法を実践的に学べます。
また、ECサイトや在庫管理システムなど様々な種類の業務システム開発に関われるため、幅広い技術知識と問題解決能力も身につけられるでしょう。

特定の技術を極めたい人は、受託開発に向いていません。プロジェクトごとに異なる技術や要求があることから、専門性を高めにくいためです。
特に受託開発ではクライアントの既存システムや予算に合わせて技術選択が決まるケースが多く、自分が極めたい技術を継続的に使用できません。プロジェクトの期間も短いため、1つの技術について深く学習し、高度な実装に挑戦する時間も限られています。
こうした環境では技術的な深い専門性を身につけにくく、長期的なスキル向上に支障をきたす可能性があります。
サービスの成長を肌で感じたい人も、受託開発に向いていません。開発完了と共にプロジェクトが終了するのもあり、自分が作ったシステムやサービスの長期的な成長や改善に関われないためです。
受託開発では、システムを納品した後はメンテナンス契約がない限り、そのプロダクトに関わる機会がほとんどありません。そのため、自分の仕事の成果を実感する機会が限られてしまいます。
こうした環境下では、やりがいを求める人は物足りなさを感じてしまうでしょう。
厳しい納期や要求にストレスを感じる人も、受託開発に向いていません。クライアントからの厳しい納期設定や無理な要求変更に、対応する必要があるためです。
例えば、クライアントの急な仕様変更や追加要望により、当初の計画より大幅な変更が頻発するケースがあります。。受託開発は、そうした無茶とも思える要望に対応しながら、品質を保たなければいけません。
しかし、このような高ストレスの環境下では、心身の健康を害するリスクがあります。厳しい納期や要求を避けたい人には、厳しい環境になるでしょう。

自社開発企業への転職は、受託開発から抜け出す選択肢の1つとしておすすめです。受託開発で培った幅広い技術力を活かして自社開発企業に転職できれば、より主体的に企画・開発に関わりながら、技術的な成長と年収アップを目指せます。
特に自社開発はユーザーからの反応を得やすい環境なため、自分の仕事の成果を実感しやすく、技術的な挑戦や新しいアイデアの実装にも積極的に取り組めます。サービスの成長に応じて年収や待遇の向上にも期待できるでしょう。
上流工程に特化した受託開発企業への転職も、おすすめの選択肢の1つです。要件定義やシステム設計などの上流工程を中心とする企業に転職することで、単価の高い案件に携われるようになります。
特に上流工程では、クライアントの業務課題を深く理解し、最適なシステム構成を提案する能力が求められるため、技術的な専門性に加えてビジネス理解力も身につけられます。プロジェクト全体の方向性を決める重要な役割なのもあり、やりがいと責任感を持って仕事に取り組めるでしょう。
ただし、そうした受託開発企業は数が少ない傾向にあるため、転職前の調査が重要になります。
アジャイル開発を導入している企業へ転職するのも、おすすめの選択肢の1つです。中でも、プロジェクトマネージャーがクライアントと密接に連携しながら予算やスケジュールを柔軟に調整できる企業を検討してみましょう。アジャイル手法によって無理な納期や仕様変更による過度な負担を軽減した環境で働けます。
また、交渉力のあるプロジェクトマネージャーだと、開発チームの状況を考慮した現実的な計画調整も可能です。結果として、エンジニアは技術力の向上に集中でき、持続可能なキャリア形成にも期待できるでしょう。
独立してフリーランスエンジニアになるのも、受託開発から抜け出す選択肢の1つです。受託開発で築いた人脈と技術力を活かして独立し、自分で案件を獲得できる環境を作れれば、収入と働き方の自由度を高められます。
また、フリーランスになると会社の利益を考慮する必要がないため、自分のスキルに見合った適正な報酬を直接受け取れます。働く時間や場所、案件の種類も自由に選択でき、ワークライフバランスを自分でコントロールできるようになるでしょう。
ただし、営業活動や事務処理なども自分でしなければいけない点には注意が必要です。
転職エージェントに相談するのも、受託開発から抜け出すためにおすすめの方法です。特に、IT業界専門の転職エージェントを活用すると、現在のスキルや経験を客観的に評価しつつ、最適なキャリアパスについてアドバイスをもらえるでしょう。
経験豊富なエージェントであれば、受託開発での経験がどう評価されるかを加味したうえで、応募者の強みを活かせる企業も紹介してくれます。
ITエンジニアに特化したキッカケエージェントでは、IT業界に豊富な知見のあるキャリアアドバイザーが、技術力やキャリア、収入、ライフワークバランスなど、様々な観点からサポートしております。
履歴書の添削や面接対策などもご活用いただけますので、転職成功率を高めるためにも、ぜひ1度お気軽にご相談ください。
受託開発は「やめとけ」「つらい」と言われますが、一概に悪いものでもありません。
確かに、厳しい納期やクライアントに振り回されるリスク、スキルアップの難しさなどのデメリットは存在します。しかし、多様な技術経験を積める点や幅広い人脈形成、コミュニケーション能力の向上など、受託開発ならではのメリットも多くあります。
重要なのは、自分のキャリア目標や価値観に合っているかを見極めることです。もし今の環境に不満がある場合は、自社開発企業への転職やフリーランス、転職エージェントの活用など、様々な選択肢を検討してみましょう。
今の時点でご経験をされている言語や技術要素に関係なく、
①技術を通じてユーザーやお客様にとって使いやすいサービスの実現に興味があるエンジニアの方
②興味・関心がある技術について自ら学ぶ意欲をお持ちの方
上記に当てはまる方でしたら、素晴らしい企業とのマッチングをお手伝いできる可能性が高いです。
最近はお住まいの場所に限らず応募ができる企業や経験年数に関係なくフラットにご評価をして下さる企業も増えているため、ぜひ一度モロー宛てにご相談を頂けますと幸いです。