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――まずは経歴についてお聞かせください。転職活動は何回目ですか?
初めての転職活動だったので1回目です。新卒で入社したIT企業では9年半働きました。仕事をしながら転職活動をおこない、来月から内定いただいたSIerに勤務します。
――ありがとうございます。転職活動に至ったきっかけを教えてください。
YouTubeで「IT菩薩モロー」チャンネルを拝見したことがきっかけで、転職の入口になりました。モローさんはエンジニアのキャリアにおいてエンジニアとして仕事してきた私よりも知見のある方と思いまして「まずは自分のこれまでの経験から、どういった可能性があるのかを相談してみたいな」と。
特に転職活動の1ヶ月前頃からしっかり動画を見るようになり危機感を持ちましたね。というのも私は新卒から1社だけの経験で漠然と「長く勤める程よいのではないかな」と思っていたのですが、いろいろな現場を経験してついていく付加価値という点で、いろいろな会社でパフォーマンスを発揮して活躍した方が社会的な信用を高めることにつながるということも知り「そろそろ他の会社の世界も見ておいた方が今後のキャリアのためにいいだろうな」と思うようになりました。
――長く勤めた上での初転職は、大きな決断だったのでは?
そうですね。私は32歳で、いわゆる転職の35歳の壁を意識したところ「今転職したらちょうど35歳の時点で3年くらい経験を積める」というタイミングでした。それで今こそ1歩踏み込んで別の会社でキャリアを広げるべきではと逆算していたところも正直あります。
「2年働けば短期離職ではないですね」というモローさんの発言も参考に、たとえ次の会社で2〜3年働いて転職することになったとしても35歳。最後の決断というと大げさかもしれませんが「今しかない!」という気持ちで転職に踏み切りました。
――なるほど。1社目ではどのような仕事をされていましたか?
受託開発とSESの2軸でシステム提案などの開発ベンダーとして事業を展開している会社で、受託開発では数百万円〜4千万円規模の案件のプロジェクトリーダーをしていました。SESでは4〜5名で事業会社に入りベンダー側のリーダーポジションとしてメンバーをまとめてお客様との調整を行う仕事をしていました。
言語はC言語から始まり.NET Frameworkの技術を触っていき、近年はAWSを使ったサーバーサイドのスクリプトやフロントエンドのAngularとかVue.js、Reactを使った開発に従事しました。
――そうした業務でやりがいを感じていたことはありますか?
SESでは技術的に面白い案件が多かった一方で、受託開発ではお客様のオリジナルの業務システムが中心だったので技術的な面白さというよりもお客様の生産性の向上につながる仕事でした。複雑に利害事情が入り組むところもあって、その辺りの折衝や社内政治の調整に「やりごたえ」がありました。
――リーダーポジションは最初から意図していましたか?
大学選定の際はITの時代になるだろうから理系の方が選択肢は広そうかなと選び、就活では技術的な経験を幅広く積めそうな会社を選んでと、高い志があって進んできた訳ではありませんでした。
しかし、最初は消去法的に選んだキャリアでしたが、社会人生活を営んでいく中で、徐々に自分は技術そのものよりも、ITを駆使したビジネス、サービス的視点に興味、関心が高いことに気づいていきました。
社内には常に新しい技術を追うスペシャリスト路線で頑張られているエンジニアも多かったのですが、むしろ自分は「お客様の窓口としてシステム提案とか案件を回すための人的リソースをどのように作業に割り当てお願いしていくかという調整の方が向いているな」と思い始めて…6年目頃からリーダーポジションになりました。
転職への意識が芽生えたのと同じ時期に「早ければ来年から管理職になってほしい」と推薦いただいたんです。管理職層のミーティングに参加を重ねていくなかで、会社として抱える課題や問題も見えてきたことも要因となって自身のキャリア構築に対して本腰になりましたね。
――キッカケエージェントを使った転職活動はいかがでしたか?
レスポンスが早くていつでも相談にのっていただける安心感がありました。職務経歴書は初めて書くので9年半働いてきた仕事の棚卸しをしたところ、20個近いプロジェクトに携わってきていて言語化するのはかなり大変でしたね。
最初は直近3〜4年の経歴を書いていたのですが、キャリアアドバイザーから「プロジェクトの空白期間があると気にされる企業もおられますよ」とご指摘いただいて新卒1年目から全て振り返ってキャリアを言語化できたことはすごくよい経験になりました。
添削いただきやりとりしながら2〜3週間かけて最終的に8ページの経歴書が仕上がりました。
――転職活動の軸にしていたことを教えていただけますか?
「これまで経験できなかった大規模な案件に挑戦したい」という強い意志を動機にシステムのコンサルや提案をしている企業や自社開発企業を中心に進めていきました。
紹介企業は数億から数十億のプロジェクトを手がけているような企業が多く、前向きに取り組める企業ばかりをリストアップしていただけたと思います。15社くらい応募して書類は8割ほど通過しました。
――素晴らしい推移ですね。実際の面接はいかがでしたか?
面接は本当に苦労しましたね。職務経歴書は汎用的に書けるところもありますが面接では個別の企業研究も必要です。仕事をしながらの転職活動で、残業が多くポジションも上の立場だったので仕事の手は抜けません。
面接期間は約2ヶ月で週2社くらいのペースで行っていましたが、現場の仕事でちょっと参っていたところもあって、転職活動に引っ張らないように注意をしていたことが大変でしたね。
キャリアアドバイザーから「明日受けられるのはこんな企業で、過去の経験のこんなところをアピールしてみては?」といった助言もいただけて参考になりました。結果的に内定は1社でしたが、非常に前向きに転職できる企業から内定をいただくことができました。
――Oさんが内定された企業は、厳しい面接があることで知られている大手のSIerですね。
相性がよかったのかなと思います。企業によってどれだけ深く物事を考えているのか「思考の深さ」を評価されることや「頭の回転の速さ」を評価されることもあると思いますが、内定した企業は「思考の深さ」を評価していただけたのかなと思っています。逆に頭の回転の速さはあまり得意なところではなかったです(笑)。
また技術力を売りにしている会社と思っていましたが、面接では技術に関して深く聞かれるというよりも、これまでリーダー、マネージャーとしてどのようにアプローチしてきたかの質問が多かったです。
――カルチャーマッチされましたね。どのように思考力を培われたのでしょうか?
リーダーになって圧倒的にステークホルダーが増えて、現状に対してどうアクションをとれば誰にとってwinになるかという落とし所を考えることが多かったので、常に「なぜ今これをするか?」など「なぜ」を起点に考える癖がついていて、合理性を持って回答できたことを評価いただいたのだと思います。
――残業時間が転職活動のネックになっているSESからの転職者も多いのですが、Oさんはどのように乗り越えられましたか?
月80時間くらい残業をしながらの転職活動は困難で、企業研究や面接対策はいくらでも時間をかけられるのですが、途中から考え方を切り替えました。限られた時間のなか「これ以上は時間をかけられないな」となったときに「割り切って進める」という状況を諦めずに続けたところが乗り越えられたコツだと思います。
面接は19時以降の時間帯だけで組みましたが、当日は周りの利害関係者の方に事前に時間をお伝えしてスパッと退勤して、面接がない日は遅くまで仕事してというスタイルで活動していて…帰宅時には疲労困憊でしたね。
ただし面接の前日には「この企業ではこの点を自分のストロングポイントとして推す」ということを考えたかったので、ある程度時間を作り考察してから臨みました。
――転職活動に際してリーダーとして気をつけていたことは?
とにかくメンバーの手が動かせない状態を作らないということを意識しました。私が早めに退勤する日に他の人が手を動かせない状態になるとプロジェクトの生産性や作業効率面でもよくありません。自分がいなくてもメンバーが手を動かせるように、退勤前までに調整しきっておくことを心がけていましたね。
直近の仕事はプロジェクトリーダーで、別にマネージャーの上司がいたのですが「この日は早めに退勤するので、今メンバーにこういう仕事を振っていてこういう算段で進められると思いますが、もし緊急事態があれば対応してあげてください」というような事前の調整はやっていましたね。
――PL術としても参考になりそうです。ちなみに転職先の給与面は?
次の会社は固定残業枠があるので残業がなければ前職よりもよいというところですが、目先の金額というより今までできなかった経験ができますし、平均給与などを鑑みても順調にキャリアアップした場合スケールすることが見えていましたので前向きに捉えています。
――転職先ではマネージャー職と聞いていますが、働き方などイメージはされていますか?
自社サービスを使ったシステム提案が今までとどう違うのかは実際に経験してみないとわからない部分ですが、働き方などは面接で踏み込んで言及していたのでわりとクリアにイメージできていると思います。
――入社までの有給消化期間はどんな風に過ごしていますか?
現在は1人暮らしですが結婚を考えているパートナーと同棲するため、転居先を決めてライフラインの手続きなど調整を進めているところです。
実は、内定をいただいてからさらにワンブースト仕事がハードになりまして最終勤務日も夜10時まで仕事していたので、有給消化期間になってから一気に引っ越しのことをやりました。
そんな状態だったので、退職交渉は揉めてしまうかなと思ったのですが、こちらの事情も汲んでいただき、最終的には円満退社できたと思っています。
――退職交渉はどのようにされましたか?
途中で転職活動を悟られると会社からのアプローチで転職の意思がブレるかもしれませんので、内定が決まってから伝えました。
直属の上長との付き合いも長く、腹を割って話せる関係性を築いていたこともあって「転職の意思が固いな」と承認いただき前向きに応援してくれました。タイミングとしては要件定義と基本設計が終わるプロジェクトの切りのよい時期を選んでお話しました。
――いろいろ配慮されていますね。今後の豊富などありましたら教えてください。
案件規模が大きくなり、これまで経験できなかったことを経験させていただけるので、エンジニアとしてもっとキャリアアップできたらなと思っています。自社製品を使った提案は初めてなのでそれを経験して、3年後を自分がどうキャリアを築いていくのかを検討するマイルストーンにして頑張っていきたいと思っています。
――長期的にはどんなリーダー像を思い描いていますか?
プロジェクトを炎上させないリーダーを目指していきたいですね。自分でコントロールできない領域もありますが、なるべくコントロールできる範囲で仕事を頑張りたい人に振るなど、皆がそれぞれ自分のライフスタイルや仕事観に合致するように調整して立ち回っていけたらと思っています。
――経験者として転職の心得など、転職を考える方へのメッセージがありましたら教えてください。
正直、もう少し早く別の環境にチャレンジすることも視野にキャリアを築けるとよかったかなという部分もあります。当時は順調にキャリアアップできていて管理職にもなれそうだと社内キャリアのことしか考えておらず、仕事は1社で長く続ける方がよいという固定観念もありました。
転職するかどうか別としても、ある程度経験を積んだら外だと自分がどう評価されるか1回これまでの仕事の棚卸しをして、今のプロジェクトは世間ではどういった評価になるのか自社のなかで閉じないで世間と接点を持っておくといいと思いましたね。
働きながら転職活動される方は、現状の業務が落ち着いているときにしか転職活動に時間がかけられないと思いますし、また実際に次が決まったときに揉める原因にもなりかねないので退職日も意識しておいた方がよいと思います。
それと、エンジニア転職に特化したキッカケエージェントは、キャリア事情やエンジニアとして現在どういう仕事があるかなど熟知されているので、いざ転職というときに力になってくれると思います。
キッカケエージェントはIT人材・エンジニア特化の転職エージェントです。最新のIT転職市場に精通したキャリアアドバイザーが、年収・技術志向・今後のキャリアパス・ワークライフバランスなど、一人ひとりの希望に寄り添いながら転職活動をサポートします。
今すぐの転職でなくても、キャリアの棚卸しや現職の悩み相談も受付けております。他社エージェントをお使いいただいていて疑問を抱いている方も相談ベースでお話しできますので、是非無料の個別キャリア相談会にお申し込みください。
今の時点でご経験をされている言語や技術要素に関係なく、
①技術を通じてユーザーやお客様にとって使いやすいサービスの実現に興味があるエンジニアの方
②興味・関心がある技術について自ら学ぶ意欲をお持ちの方
上記に当てはまる方でしたら、素晴らしい企業とのマッチングをお手伝いできる可能性が高いです。
最近はお住まいの場所に限らず応募ができる企業や経験年数に関係なくフラットにご評価をして下さる企業も増えているため、ぜひ一度モロー宛てにご相談を頂けますと幸いです。